この記事の主題は、貨幣の循環速度Vと政府支出Gの平均成長率の関係である。以下の図は、33カ国20年間の平均値の分布。政府支出の平均成長率の範囲が2%から10%、そして循環速度Vの平均成長率の範囲はほぼ1%以下(2%超が一例)である。過去20年間において、「循環速度Vの成長率は、政府支出Gの成長率より小さい」という結果が得られた。
各国の政府支出の成長率の平均値(横軸)と貨幣循環速度の成長率の平均値(縦軸)。 |
データはOECDから取得した33カ国、20年間の平均値。ここでは世界規模の経済的な事件となった2009年と2020年を除外している。
このグラフで記事を書く理由は、「【貨幣循環】政府支出Gの成長率と名目GDPの成長率の関係(Y、M、Vの各変化率の関係)」において紹介した、政府支出と名目GDPの成長率の正比例関係を説明するためである。先の記事ではこの正比例関係の説明として、貨幣循環のもとでの循環速度の成長率が0で、政府支出と国内投資の成長率が同程度ならこの正比例関係を説明できる事を示した。今回のグラフは、循環速度の成長率が0とはいかないまでも、循環速度の成長率が政府支出の成長率に対して小さい事を示している。
内容
1. データ
2. 数式まとめ
3. グラフ