「【貨幣循環】貨幣循環導入の3点セット」では、貨幣循環の定式化である M=G+I と V=1/(1-β) を紹介した。「【貨幣循環】歳出伸び率とGDP成長率の関係」では、名目GDPの成長率と政府支出Gの成長率の関係を紹介した。本記事では、MとV、および名目GDPの成長率について時間変化と散布図のグラフを紹介する。
名目GDPの成長率(縦軸)とM=G+Iの成長率(横軸)についての散布図。 |
これが名目GDPの成長率(縦軸)とM=G+Iの成長率(横軸)についての散布図である。M=G+Iと名目GDPの成長率が20%以下の範囲でよく正比例している事が分かる(一定の分散あり)。これは貨幣循環の因果関係として当然である。貨幣循環を考えれば、企業と家計による貨幣循環への貨幣の注入量そして吸収量がG+I=S+Tだからである。
ただし、M=G+Iと名目GDPの成長率の1対1関係には、「Vの成長率(変化率)が低ければ」という注意書きがつく。M=G+Iが20%以上の範囲において、データ点が傾き1を示す破線から離れているのは、日本の1960年代以前のVの成長率が大きかったからである。そして上記の「一定の分散」というのはVの成長率の変動である。
この事から見出される結論の一つとして、近年の日本のGDPの低迷はM=G+I の低成長率に由来する。
内容。