2021年7月6日火曜日

【電子書籍】マクロフロー経済学 2 貨幣循環、乗数効果、数量方程式

 マクロフロー経済学 2 貨幣循環、乗数効果、数量方程式

Macro-Flow Economics 2 Money circulation, Multiplier effect, and Quantity Equation


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本書の目的は、貨幣循環の観点から乗数効果と数量方程式を統一的に記述する事である。そのため家計と企業によるフロー循環のもとで収入頻度と平均消費性向を数量方程式に適用した。この導出では、名目GDPと最終家計消費支出による平均消費性向を使って、名目GDPに関与した貨幣量、貨幣の年間平均回転速度、各回転数の貨幣量割合の変化を求める事ができる。


1955年以降の日本とアメリカの名目GDPについて今回の導出を適用した。結果、日本の平均回転速度は2から2.5の範囲で緩やかに変化しており、アメリカの平均回転速度は2.3から2.7へと増加していた。また名目GDPに関与した貨幣量が得られるので、この貨幣量とM2から有効貨幣率を得た。近年の日本のGDPはM2の25%のみが寄与している。


図4、日本の1955年以降の名目GDP(左上)、平均消費性向(右上)、関与貨幣量(左下)、平均回転速度(右下)。実線と破線は、平成2年基準(1968SNA)と平成27年基準(2008SNA)を意味する。

図6、日本とアメリカの有効貨幣率(= 関与貨幣量 / M2)。





乗数効果については、収入頻度や最低貨幣額を考慮する事により、例えば1兆円の乗数効果なら最長でおよそ10年続くと考えられる。また、年間の収入頻度を使って1年間の乗数効果を計算する事ができた。この値は、無限等比級数の和の公式から得られる値よりも、年間の乗数効果として適切である。


貨幣数量説で仮定される貨幣の回転速度1は、全ての貨幣が財・サービス市場を1度だけ通過する事を意味する。そのため、回転速度1は平均消費性向0を導き、現実の値を説明できない。



===目次===

第1章 導入

 1.1 動機

 1.2 乗数効果と貨幣循環


第2章 消費性向と収入頻度

 2.1 消費性向と収入頻度

 2.2 貨幣の回転速度

  2.2.1 数量方程式の変化

  2.2.2 流入流出が無い貨幣循環

  2.2.3 流入流出がある貨幣循環

 2.3 乗数効果

  2.3.1 乗数効果の実効限界

  2.3.2 一年間の乗数効果


第3章 議論

 3.1 貨幣数量説

 3.2 乗数効果の低下

 3.3 経済主体の分解

 3.4 収入頻度による値の変化


第4章 まとめ


参考文献

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