2017年4月17日月曜日

チョコ、ImPACT、仮説と検証の重要性

結論1、仮説と検証(科学方法論)の重要性。
結論2、明治のチョコレート、しばらく控えます。



研究者が情報を発信すべきであろう話題、について書いておきます。


  1. 微妙な研究成果が権威をまとってやってきた~どう対峙すべきか(榎木英介)
  2. 日本の科学はここまで墜ちた!? 明治のチョコ若返り宣伝に見る “お墨付き”効果(めんどな話になりますが…)
  3. 内閣府チームによる研究開発プログラムの一つがニセ科学だった(NATROMの日記)


ImPACTという政府事業があります。

この事業では、16人の選ばれた研究者が率いるプロジェクトに、5年間で550億円の予算が与えられます。

今回話題となっているのは、このプロジェクトの一つが、科学的事実とは呼べないレベルの成果を記者発表し、おそらくは一般企業の売上に影響を与えた事です。(2の記事)

3の記事のタイトルにある「ニセ科学」はインパクトの強い言葉ですが、科学結果として未成立な内容である事は間違いありません。

このような科学結果として未成立な内容を発表し、営利活動に影響を与えたとなると、「ニセ科学」の汚名は免れません。

このレベルの成果で記者発表できるなら、修士1年生や学部4年生でも記者発表できそうです。すごーい。

公式ホームページで研究メンバーのポジションを見ると、立派な役職名が並んでいる訳ですが、どうしてこんな事になってしまったんでしょう。

「記者発表」が意味する科学成果のレベルは、研究業界で生きてきた皆さんならご存知のはずですが。

私は実験系の論文は書いた事がありませんが、論文にならないような段階である事は理解できました。

予算額のデカさと、記者発表の内容、落差がひどい。

3の記事は手厳しいですが、科学者と名乗る人種が当然守るべき事を書いています。





「ニセ科学」という言葉について、ちょっとフォローをいれておきます。

ここで言う「ニセ科学」とは、十分な「仮説と検証」(いわゆる科学的方法)を通過していない事実(結果)の事です。

今回の記者発表の内容は、(私は専門知識が無いですが)他の研究者からすればちょっとは面白い発見だったのかもしれません。

しかし、「それだけ」あるいは「その程度」の内容では、第三者が再現可能な普遍的な真理、因果関係の確立された強固な事実とは言えません。

実験や解析を重ね、どの程度の誤差のもとで確立している事実なのかを明確に検証する必要がありました。(3の記事によると、さらに段階的な因果関係の確立も必要らしいですが)

今回の記者発表の内容については、この検証の部分が大きく欠けているにも関わらず、世間に情報を流したために、ニセ科学と呼ばれる結果になりました。



多額の税金を投入している政府事業でどうしてこういう事になったのでしょうか?

明治のチョコレート効果、好きだったんですけどねぇ、しばらくは(年単位で)控えます。

書き損ねましたが、この問題についての最初の記事は、チョコで脳の若返り?大いに疑問な予備実験での記者会見(詫摩雅子)です。



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※190914追記
内閣府、高カカオチョコの研究プロ中止(日刊工業新聞、20180309)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00465167

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