2017年3月28日火曜日

その人は何者か? 昭恵夫人公人私人論争

私は、昭恵夫人を「公人」であると認識する。

理由は以下のとおりである。





名刺や他人からの評価などの直接的な情報以外で、ある人物が何者であるかを人々が認識する時、判断基準はその人が何をしているか、何に時間を使っているか、である。

小さなパン屋を考えよう。

店長自らパンを捏ねているなら、その人は店長でありパン職人である。

しかし、この店が大きくなり、支店を持ち、自分でパンを捏ねずに職人を雇い、経営に目を光らせているなら、その人はもはやパン職人ではなく、経営者である。

その人の職業、あるいは何をしている人かという認識は、その人の善性悪性とは一線を画す認識である。



安倍昭恵首相夫人が公人か私人かというカテゴリー論争も、法律的な定義とは関係なく、人々は昭恵夫人のしている事、されている事によって判断すべきである(実際そうやって判断するだろう)。

この認識は、昭恵夫人が善人か悪人かという認識とは独立している(個人の資質とは全く関係が無い)。

昭恵夫人には5人の官僚が付き従い、「首相夫人」という肩書で各地での講演会その他の活動をしている。
昭恵夫人のオフィシャルサイトを見ると、社会活動のページで昭恵夫人が全国各地で積極的に活動している事が分かる。

このページを調べると、国内では124のイベントが報告されており、外国訪問は4カ国1地域(ヨーロッパ歴訪)、日本での来賓歓迎は11回(伊勢志摩サミット含む)にも及ぶ。

これらの日数は決して少ないものではなく、移動時間も考えるとかなりの日数が使われている事が分かる。

昭恵夫人主体の行動でも、政府が給料を支払っている随行員(警備員)は当然ながらいるだろう。

これらのイベントの数々、投入されている人員と公金を考えると、昭恵夫人を私人とみなすのには無理がある。



では、どのような活動なら、昭恵夫人は私人と認められただろうか?

国内での公務活動が無いあるいはごく少ない(来賓歓迎のみなど)、あるいは自分の趣味・専門分野に限定した活動で人々と接する、そしてマスコミの前に登場せず私生活を楽しむだけなら、私人という認識で良かっただろう。

私費で警備員運転手を雇っているなら、なおさら問題はない。

しかしスケジュールを管理し、諸々の手配をするための官僚を付ける事は問題外である。

私人なら私費(公費以外)で秘書を雇うべきである。

当然、その人物が信頼に足るかどうかは、まず私費を投じて調べ、決定してから警察公安で再度調べるべきであろう。


上に挙げた「少ない公務活動日数」の目安は、例えば1年で20日前後が考えられる。

これは4週×5日間、1年の内の一ヶ月のさらに平日に相当する期間である。

1年のうち、1/10以下の期間のみを公務に使うならば、他の大半の時間を公務に携わらないのなら、私人とみなしても良いだろう(議論の余地有り)。

1年の半分以上の期間(平日換算で130日)を「首相夫人」としての「公務」に使うのなら、それは私人とは認識できない。



これらの理由によって、私は安倍昭恵さんを「公人」であるとみなす。

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