2016年3月12日土曜日

教養と情報検索

「教養(きょうよう)とは個人の人格に結びついた知識や行いのこと。これに関連した学問や芸術、および精神修養などの教育、文化的諸活動を含める場合もある。」(Wikipedia


とりあえずの結論として、「教養などの個人的な魅力について、電子的な検索の助けは極めて制限されている。」




情報の吸収という点では、現代の電子的な検索は非常に有用である。しかし、だからと言って人間が何も覚えなくてよい訳ではない。個人が覚えている知識と、その情報処理、そしてその発露が、個人の価値や魅力の一面を決定する要素になっている。

現代における知識は、すべて検索すれば事足りる、という考え方がある。だから、何かを暗記する事は労力の無駄であると考える人たちもいるだろう。しかし、人生のいかなる時でも、情報端末(スマホやPC)から情報を得られる訳ではない。一つの意味は、情報端末を接続できない環境である。ただ、もう一つ考慮すべき意味は、その場面・状況である。料理や旅行の前に情報を検索する事は、もちろん正しい。だが例えば、会話中に返答の仕方を検索する事は、その場面に適切ではない。他人(例えば、恋人、親、子供、友人たち、商談相手)との会話における情報処理は、他人から見た自分の価値を常に変化させている。

全ての情報を個人が取得する事は不可能である。しかし、情報の取得とその処理は、自分の能力と魅力を高めるためには実行しなければならない。




なぜ、こんな意見を書いたかというと、昼間に再放送していたクイズ番組の一コマが原因である。
  1. ある回答者がクイズを不正解。「知識問題は覚えておく必要はない。検索すればいいんですよ。」という。
  2. 解説者が、「教養につながるから覚えておいた方がいいですよ」と言う。
  3. その回答者が「どうして覚えておくのが、教養につながるんですか」とキレ気味に返す。解説者が適当に謝って終了。
この会話の中で、この回答者の魅力はどう変化しただろうか?



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